史上最短!2024年ニュルブルクリンク24時間耐久レース観戦記 ~レンタカー不要のアクセス方法~

ドイツ

~2024年5月30日から2024年8月20日までのヨーロッパ周辺青春旅行記~
2024年6月1日から2日に、ドイツのニュルブルクリンクサーキットに24時間耐久レースの観戦に行ってきました。

ニュルブルクリンクへのアクセス方法を見つけるまで

今回、私はレンタカーもタクシーも使わずに公共バスを利用してニュルブルクリンクサーキットへ行ってきました。多くの人がレンタカーを利用して現地に行くようですが、私は左ハンドルの運転経験がなかったため、別のアクセス方法を探すことにしました。調べてみると、ドイツのコブレンツからバスが出ているという情報を見つけたのですが、いつの情報か定かではなく、半信半疑のままフランクフルトから電車でコブレンツへ向かいました。この時は、「24時間耐久レースは大きなイベントなので、観光案内所に行けばもしかしたら観戦ツアーがあるかも知れない」という期待もあったので、私はコブレンツからバスでニュルブルクリンクへ向かうことに決め、旅程は、日本(飛行機)→フランクフルト(電車)→コブレンツ(バス)という流れでスタートしました。

フランクフルト空港駅から電車でコブレンツへ移動した後、コブレンツ駅から徒歩10分ほどの「フォーラムコンフルエンテス」という建物内にある観光案内所へ向かいました。このビルには市立図書館や博物館もあり、明るく開放的な雰囲気です。ただ、建物の外にはインフォメーションセンターを示す「i」の看板などの目印がありません。そのため、私は建物の前にある特徴的な建物を観光案内所だと勘違いしてまい、しばらく周辺をウロウロしてしまいました。

観光案内所では、早速ニュルブルクリンクサーキットへのアクセス方法を尋ねてみたのですが、女性スタッフは「それはどこですか?」という状態で、場所を知らない様子。自分の英語が通じていないのかと不安になり、「モータースポーツのカーレースの有名な場所」「24時間耐久レースが行われているところ」など、連想ゲームのようにヒントを並びたてていると、隣にいた男性スタッフが私のかぶっていたランボルギーニのキャップを指しながら「ニュルブルクリンクだよ」と言ってくれ、女性スタッフはようやく理解し、パソコンでニュルブルクリンクへのアクセス方法を調べ始めてくれました。
しばらくネット検索した結果、コブレンツからは直接向かうバスがなく、タクシーだと非常に高額になり、車を使わないと行くのは難しいという答えが返ってきました。観戦ツアーがあるかもしれないと期待していたのに、近隣の町ではニュルブルクリンクがあまり認知されていないことに驚きつつ、困っていると「アーデナウからならシャトルバスがあるけど、そこまでは複雑なバスの乗り換えになるし、そもそも運行の確証もないし、バスの発着時間がずれたら乗れないかも知れないし、不可能に近いよ」と言いながらも、その乗り換え案内を親切に印刷してくれました。タクシーも最終手段として考えてはいましたが、なるべく公共交通機関での安価な移動に挑戦したかったため、アーデナウ経由で行くことに決めました。スタッフの方々から「グッドラック」とエールをもらい、その流れで本日の宿泊場所も探してもらいましたが、紹介されたのは★付きの高級ホテル2箇所。ドイツ到着早々で勝手がわからずにホテル探しまで頼ってしまったのですが、後で考えると、自分で検索アプリを使って探せばよかったと少し後悔しました。2024年5月は急激な円安が進んでおり、現地物価も把握していなかったので相場が全然わかっていなかったのでしょうがないですが、観光案内所では民泊や安宿はあまり紹介されないのが普通ですよね。一先ずコブレンツからアーデナウの行き方を手に、案内所を後にしました。

24時間耐久レース タイムスケジュール

今回、6/1(土)-6/2(日)の決勝レースのスタートに間に合うようにニュルブルクリンクに13時到着予定でスケジュールを考えていました。

出典:ADAC Nordrhein eV

公共交通機関(電車)を使うコブレンツ駅 → メンディヒ駅 →ニーダーメンディッヒ停留所

コブレンツからアーデナウに行く際には、電車とバスを利用します。時間帯によって乗り換え駅やバスが異なるため、最新情報はDBサイト(ドイツ鉄道)の公式サイトで確認することをお勧めします。私が利用する予定だった経路は、「Alter Bahnhof」のバス停で「AST 815」のバスに乗り、「Makt, Adenau」で「863」に乗り換え、「Alter Bahnhof, Adenau」に到着するというルートでした。しかし、「AST 815」バスの利用方法を事前に知らなかったため、大幅に時間をロスしてしまいました。この「815」のバス利用方法を事前に知っておくと、バスでニュルブルクリンクに行くことが可能なので、ぜひご参考ください。

2024年6月1日の朝、コブレンツ駅に向かい、DB窓口でアーデナウまで行きたいと伝えたところ、窓口のお姉さんが乗り換え案内を印刷してくれました。丁寧にプラットフォームの場所やバスの乗り換えまでラインを引いて説明してくれ、発車時刻は8時52分。切符を購入したのが8時47分だったので、ホームはすぐ近くだから十分間に合うだろうと見込んで手配してくれていました。
ところが!私は勝手にバスで移動するものだと思い込んでおり、切符を購入後、駅前のバス停に向かい、プラットフォーム「5」を探し始めました。しかし、バス停の表示は数字ではなくアルファベットで「A,B,C」となっており、目当ての「5」が見つかりません。不安になって停車していたバスの運転手に乗り換え案内を見せると、彼は「バスじゃなくて電車のホームだよ」と駅を指さして教えてくれました。慌てて駅に戻り、再びDB窓口で切符と乗り換え案内を見せると、お姉さんは「あら、電車を逃したわね」と一言。時計を見ると、すでに9時10分を過ぎていて、せっかくスムーズに切符を手配してくれたのにやらかしてしまいました。

仕切り直して、次の9時52分発の電車を印刷してもらい、乗り換え案内を頼りにアーデナウを目指します。
ルート
1.電車 at 9:52
 Koblenz Hbf (コブレンツ) → Mendig (メンディヒ)
2.バス1 at 10:41
 Niedermendig Mendig Bahnhof (ニーダーメンディッヒ) → Alter Bahnhof Kempenich(ケンペニヒ駅)
3.バス2 at 11:32
 Alter Bahnhof Kempenich → Markt, Adenau(アーデナウ マーケット)
4.バス3 at 12:28
 Markt, Adenau → Alter Bahnhof, Adenau(アーデナウ)
5.アーデナウ到着 at 12:29

このルートで一番心配なのがバスの乗り継ぎです。電車からバス1への乗り換えは徒歩6分と案内されていることから、駅から少し離れた場所にバス停があるということ。「まあ、駅に着いたら駅員さんに聞けば何とかなるだろう」と、ろくに下調べもせずに到着したMendig駅は無人駅。これはピンチ!

ちなみに、Mendig駅の建物は1877年に建設されたもので、現在は修復され、個人所有の住宅兼オフィスビルとして使用されているそうです。こんなに大きくて素敵な建物がありながらも駅が無人ということに驚きです。私はバスへの乗り換えで急いでいたため、写真撮影や建物の鑑賞はしていないのですが、人気のないホームと静けさが相まって、廃墟のような少し重苦しい雰囲気を感じました。
出典:Wikipedia

DB(ドイツ鉄道)の遅延により、Mendigに到着したのは10時50分。乗る予定だった10時41分発のバスには到底間に合わない時間でしたが、「バスも遅れているかもしれない…?」という根拠のない希望を抱きながら、道もわからないままホームから続く雑木林の小道を急ぎ足で歩いていると、犬を散歩しているお兄さんに遭遇。「こんにちは!英語話せますか?」と声をかけ、バス停の場所を尋ねました。お兄さんは英語で返事をしてくれ、バス停までの道を教えてくれました。田舎ではバスが1時間に1本しかない「田舎あるある」。すでにスタートから電車を1本乗り遅れていたこともあり、ここでバスを逃すわけにはいかないので、お兄さんに「Thank you」を繰り返しながら駆け出しました。ちなみに、ドイツ語もイタリア語もポーランド語もさっぱりわからない状態で一人旅をしていたので、今回の旅では何度も教科書通りの「Can you speak English?」を使っていました。

駅を背にして「今歩いてきた道を突き当りまで真っすぐ進むと、右手に踏切が見えてくるので、その踏み切りを渡り、右に曲がると、バス停がある」との教えを守り、美しい木々の緑に隠れて周りが見えないまま進むと、そこには真新しいバス停がありました。
※時間がなかったので写真は撮影していません
出典:Seznam.cz.a.s

ちなみに、Google Mapで検索してみましたが、現時点(2024年9月検索)のMendigの情報は2023年7月のものとなっており、私が見つけたこの真新しいバス停はまだ繁栄されていませんでした。※緑サークルがバス停
出典:Google Map

出発時間は過ぎていたものの、ニーダーメンディッヒのバス停には2台のバスが停車していました。もしかして予定していたバスがまだ停まっているのかも!と思い、「どっち?どち?」と心の中で叫びながら手前のバスに駆け寄り、運転席の小窓に向かって乗り換え案内の印刷を貼り付け、「このバスはNo.322ですか?」と大声で確認しました。運転手は窓越しに紙を覗き込んだものの、見づらかったのかバスから降りてきて、改めて紙を凝視すると、奥に停車していたもう1台のバスを指さし「あのバスだよ」と教えてくれました。「ありがとう!」と叫びながら、急いでそのバスに駆け込みました。私がこんなに慌てていた理由は、事前に「ドイツのバス乗車は、乗りたいバスが来たら手を挙げて合図しないと、バス停に立っているだけではバスは停まってくれない」と知っていたからで、今にも目の前で発車しそうなこの状況に必死でした。
バスに乗り込み、ようやく一息ついていると、運転手がのんびりと降車し、先ほどのバスの運転手の元に歩いて行ったかと思うと、2人で談笑を始めました。出発時刻はとっくに過ぎているのに急ぐ素振りはなく、さらに時間が経っていく。このバスに乗って次のバス停まで40分の予定ですが、すぐに出発すれば11:32発の乗り換えバスに間に合う可能性があるんだけど・・・と思いながら、じっと出発の時を待ちました。

参考までにNo.322のバスの時刻表ですが、今回はMendigから終点のKempenichまで乗車しました。
出典:Seznam.cz.a.s

24時間耐久レースのスタートに間に合うように、3時間弱前に出発したものの、すでに電車で1時間のロス。もし次のバス停で上手く乗り継げなかった場合には、料金はかかるもののタクシーを利用すれば30分以内にはニュルブルクリンクに到着できるだろうと計算し、ひとまず動き出したバスに安堵していました。
しばらく発車しなかったバスは、予定の所要時間よりも大幅に短い、約15分でバス停に到着。というのも、バスルートには11個のバス停があるものの、実際に停車したのはたった1箇所のみで、あとはバス停すら見かけない山道と高速道路を進んでいたからです。これはイタリアやイギリスでの経験とも似ていて、公式サイトで田舎のバスルートを調べると、何十個ものバス停が表示されるにもかかわらず、バス停そのものが存在せず、停車することなく短時間で目的地に到着することがあります。

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Google Mapは便利ですが、ネット接続が必須です。Mendig駅周辺にはFree Wi-fiがなく、持参したモバイルWi-fiも接続までに時間がかかることが多かったため、今回は偶然散歩中のお兄さんに道を尋ねられたのは幸運でした。この後の旅ではGoogle Mapに非常に助けられましたが、2回ほど位置情報に惑わされることがありました。そもそもGoogle Mapは常に最新情報ではなく、区画整理などが進んでいる場所では更新が追いついていないこともあるので注意して利用しましょう。

公共交通機関(バス)を使うケンペニヒ停留所 → アーデナウ

次の乗り換え場所のケンペニヒ停留所には11時30分頃に到着しました。

緑枠がバス停 出典:Google Map

「11時32分発のバスに間に合う!」ということで、颯爽とバスを降りて、2箇所あるバス停のうちどちらが乗り換え場所かを確認すると、幸い、降車した場所がそのまま乗り換えバスの停留所。時刻表を確認してみると、なんとバスは2時間に1本しか運行しておらず、11時32分発を逃すと次は13時32分発。ギリギリで間に合って良かったと思いながらベンチに座って待つことにしました。もう1つのバス停にはローカルバスや観光バスが次々と到着しては出発し、忙しい状況なのに対して、私が乗りたいAST815のバスは一向に現れません。「バスの遅延?」と思いながら、念のため近くに停車していた別のバスの運転手に印刷した乗り換え案内を見せ、AST815の運行状況について聞いてみると、その運転手は「ちょっと待って」と言いながら、印刷の案内を持って他のバスの運転手に確認しに行き、また戻ってくると「遅延してるから、ここで待っていればそのうちくるよ」とのこと。

それから1時間経過。時刻は12時30分。遅延しているはずの11時32分発のバスは依然として姿を現さない。このままだと次の13時32分発が来るはずだけど、本当にくるのだろうか?と不安が過ぎる。続いてバス停に到着したローカルバスの運転手に、もう一度バスの運行状況について尋ねました。その運転手も他のルートについては詳しくなかったのですが、親切にも彼は時刻表に記載されている電話番号に電話をかけて確認してくれ、「11時32分発のバスは運休しているから、次の13時32分発をここで待てばいい」と教えてくれました。ドイツの公共交通事情的に遅延や運休は覚悟していたので、気持ちを切り替えて「次のバスでもレーススタートには間に合う」と自分に言い聞かせ、お腹もすいてきたので、バス停近くのスーパーで軽食を買いに行くことにしました。

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この時、実はバス停で同じようにニュルブルクリンクに向かう2人の男性がバスを待っていました。それぞれ1人で待っていたのですが、2人はドイツ語で会話をし始めたので、内容がわからなかった私は特に声をかけることもなく距離を置いて待っていました。思い返すと、この時フレンドリーの扉を開けて声をかけていれば、後に起きる悲しい出来事は防げたでしょう。

停留所のすぐ近くにあるスーパー(EDIKA)に入り、時間つぶしも兼ねてウロウロと店内を歩き回る。ショーウィンドウに並ぶ美味しそうな菓子パンを見つめたものの、まだお腹は空いていないのと、今回は現地のニュルブルクリンクサーキットの屋台でお祭り気分を満喫したい思いの方が強かったため、結局、炭酸水(1ユーロ)とミルクチョコレート(1.49ユーロ)だけを購入してお店を後にしました。

バス停に戻ると、先ほどの2人の男性が道路に停まっていた乗用車の運転手と何か話しています。「割り勘でタクシーの相乗りにしたのかなぁ?」とみていると、そのうちの1人(20代?)が私の方にやってきて「ニュルブルクリンクに行くんですか?」と話しかけてくれました。彼は英語も話せるんだと関係ないことを思いながらも、私も相乗りに便乗できるかも知れないと期待を込めて「はい、私もニュルブルクリンクに行きます!」と返事。彼は「乗用車の運転手にあなたも乗車できるか聞いてみる」と言い乗用車に向かったので、その後ろについて行きました。彼は運転手にドイツ語で交渉をし始めたのですが、運転手は首を横に振るばかり。バスのチケットを見せるも運転手はダメだの一点張り。その運転手には、名前やドイツの電話番号を持っているかを聞かれたので、もしかしてこれはBlaBlaCarなのかなと思いながら、一生懸命交渉してくれている彼の後ろに立っていました。

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ちなみに、現地で知ったのですが、レンタカーやバスやタクシー以外にもBlaBlaCarという相乗りの車があります。BlaBlaCarについては別途ご紹介します。

結局、彼の親切な交渉も決裂して私だけ車に乗れず、バス停に取り残されたまま、時刻は14時になろうとしていました。尚も目的のバスは一向に来る気配がありません。この場所は観光地ではなく、ただの住宅街。周辺に宿泊施設があるとも思えず、「このまま夜通しここにいることになったらどうしよう」と焦り始めました。人通りもほとんどなく、危険を感じ始めたところで、次にきたバスの運転手に状況を伝えました。その運転手は時刻表を見て、「このバスは電話で呼ばないと来ないよ」と一言。そして時刻表に書かれた電話番号を指さしました。
「今さらぁあああ!!!」という思いが頭を駆け巡り、これまで待っていたのにまさかの新情報に衝撃が走りました。さらに、ハードルの高い電話連絡に緊張が高まる。ドイツ語は全く話せないし、英語にも一抹の不安がある。辺りを見渡しても人通りはないため、先ほど立ち寄ったスーパーで誰かに相談しようと向かっていると、スーパーの前にプレハブの飲食店があることに気づきました。ガラス超しに中を除くと、女性の店員(オーナー?)がカウンター奥で調理しているのが見えました。

早速お店に入り、店員のお姉さんにこの辺でタクシーはあるかどうか確認しましたが、やはりタクシーはないとのこと。移動手段はバス会社に電話するしかないことを相談し、私の代わりに電話をかけてほしいと無謀なお願いをしてみると、最初は少し困った様子のお姉さんでしたが、「私のスマホからお願いします」と懇願すると、最終的にはスマホを取り電話をかけてくれました。もちろん会話はドイツ語で行われていたので、内容は全くわからなかったのですが、バス会社の方でも手配を確認してくれている雰囲気は感じ取れました。

しばらくして、「車の手配ができたから、16時にバス停で待っていて」とのこと。これでアーデナウまで行けることは確定しました。
この時点で時間は14時30分。つまり、さらに1時間30分この場所で待たなければならないことと、15時30分スタートのレースには間に合わないことが確定。それでも、スタートに間に合わない悔しさより、この場所で一晩過ごさなくて済むことに安堵しました。

お姉さんには、助けてくれたことに何度も感謝を伝え、こうなってしまっては、現地の屋台でお昼ご飯を取る予定もできなくなったので、軽食を取りながら待機してていいかと尋ねました。このお店には1人の男性客がバーガーを食べているだけで、テイクアウト中心のお店だったようですが、図々しさ100%でその場に居座らせてもらうことに。実は、お姉さんがバス会社に問い合わせている間、その男性から話しかけられていて、日本のアニメ「ワンピース」が好きだという話で盛り上がっていました。正直なところ、私は「ワンピース」について登場人物と海賊の設定くらいしか知らなかったのですが、男性は熱心なファンのようで、熱く語る彼に対して相槌を打つのみでした。

メニューを見て何か注文しようとしていた時、なんとその男性から「おごるから好きなの頼みなよ」というまさかの神の一声!ドイツに来て2日目で、その物価の高さに財布の紐を一生緩めないくらいな気持ちになっていた私には、異国の地で奢ってもらえるなんて信じられない話でした。最初は遠慮したものの、「ここに来てくれてありがとう」と彼が言ってくれたので、彼の地元愛からの心温まる親切だと感じ、ありがたく彼の申し出を受け入れることにしました。お店のメインはハンバーガーだったので、彼のお勧めであるポーク&オニオンバーガーをご馳走になりました。

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朝から自分のミスで電車に乗り遅れ、まず1時間のロス。さらに、乗り継ぎのバス停で3時間の待ち時間。そして最後に1時間30分の待機。結局、合計で5時間30分ものロスタイムが発生しました。レースのスタートに間に合わないと分かった時は落ち込みましたが、そのタイミングで食事をご馳走されるという、良いことと悪いことが同時に起こり、少し情緒不安定になりそうでした。とはいえ、そもそもバスの「AST」がどういうサービスなのか事前に調べていなかったのは完全に自分のミスです。

公共交通機関(シャトルバス)を使うアーデナウ → ニュルブルクリンク

バス会社から指定された時間にバス停で待っていると、10人乗りくらいのワンボックスカーが到着しました。本来「AST」は、利用者の少ない路線に対して定期便ではなく、事前予約制の乗り合いサービスです。店員のお姉さんがどう交渉してくれたのかは分かりませんが、大きなワンボックスに私1人がポツンと乗ってアーデナウに向かいました。

アーデナウでは、ドイツのバス停の「H」マークもない場所で降ろされましたが、先ほどのケンペニヒとは違い、ここは賑やかな町。最悪何かあっても宿やタクシーがありそうで安心感がありました。辺りを見回しながら観光案内所を探します。営業中のお店もありますが、観光案内所に絶対的な信頼を寄せていた私は、とりあえずそこを目指しました。

降車した場所から「i」の観光案内所を示す標識が見えたので、その方向へ進むと見えてきたのは、「Verbandsgemeinde(市役所・区役所)」。速足で到着しましたが、入口はすでに閉まっていて、時刻は16時20分。入口に貼ってあった営業時間を見ると、土曜日は13時でクローズとのこと。私はまだ東京にいる感覚を引きずっていて、ヨーロッパの営業時間の短さをすっかり忘れていたことに気づき、愕然としました。もし電車に乗り遅れず、バスの乗り換えもスムーズにしていれば、12時にはここに到着していたはずです。しかし、過去を悔やんでも仕方がないことなので、突きつけられた現実と向き合うしかありません。

さて、ここからニュルブルクリンク24時間耐久レース用のシャトルバスが出ていると言うことですが、乗車場所は一体どこに?
頼りにしていた観光案内所が閉まってしまい、手掛かりがない今、近隣のお店の人に総当たりで聞いていくしかない!

事前に調べていた情報によると、ニュルブルクリンク24時間耐久レース開催時期は、アーデナウの町全体が盛り上がっているはずでした。しかし、私が歩いた道では思っていたほどの人通りもなく、レースイベントらしい装飾は白と黒のゴールフラグがちらりと見える程度で、町はひっそりとしていました。もっとも、15時にレースがスタートしているので、観客はすでにサーキットに向かって出払っているということでもあったのでしょう。
以前、イギリスの田舎町(ストラトフォード・アポン・エイボン)で、ほとんどのお店や飲食店が17時には閉まるということを経験していたので、もうすぐ17時になろうとしているこの時間帯に、人通りが少ないのも納得でした。とにかくドアが開いているお店の店員さんや、テラスで飲んでいた4人組の男性グループに、シャトルバスの停留所がどこにあるのかを、片っ端から尋ねて回りました。

尋ねた人全員が親切に道順を教えてくれたのですが、なかなかシャトルバスの停留所を見つけることができませんでした。というのも、「見つければすぐにわかるような目印があるはずだ」と無意識に思い込んでいたせいで、教えてもらった道の先にそれらしいものが見えないと不安になり、おろおろしていたのです。結局、大通り沿いを真っすぐに、バスで来た道を少し戻ったところにあった「Adenau Schrlzentrum」というバス停が、臨時シャトルバスの乗車場所でした。
同じタイミングでバス停に向かっていた3人組の男性グループを見かけたので、前回声を掛けずに乗り合いバスに便乗できなかった教訓を生かして「このシャトルバスのチケットはどうやって買えばいいのか?」と話しかけてみると、「シャトルバスは無料だと思うよ、多分」と返してくれました。

バス停を探すよりも、近くのバイクショップ「zweirad schulz adenau」を探した方が見つかりやすいかも知れません。
HP:zweirad schulz adenau

参考Link:最新情報は公式サイトから情報収集するのをお勧めします
グーグルマップ 臨時シャトルバス乗り場の地図
Rome2rio アデナウからニュルブルクリンクへの3つのルート
Seznam.cz.a.s アデナウのバス停マップ

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アーデナウは始発駅だったのか、しばらくは私と3人の男性の4人の乗車で貸し切りでしたが、ニュルブルクリンクのコースに近づくと、それぞれのシャトルバス停留所から乗車降車で満員になりました。シャトルバスの料金は無料です。

ということで、朝8時にコブレンツのホテルをチェックアウトしてからニュルブルクリンクに到着したのは、なんと17時40分。本来であれば、公共交通を利用しても3~4時間で行けるところを、電車の乗り遅れや、乗り合いバスの手配を怠ったため、合計で9時間もかかってしまいました。私は通常の2倍も時間を要してしまいましたが、おそらく途中でうまくバスを手配していた男性2人組は、15時のレーススタートに無事間に合ったのではないかと思います。

今回は、「公共交通でニュルブルクリンクに行けるのか?」という挑戦も兼ねていたので、無事到着できたことを考えると、この挑戦は成功だったのではないでしょうか。

BlaBlaCarとは?
BlaBlaCarはフランス発祥のライドシェアサービスで、小回りの利く乗用車と長距離バスのサービスを提供しています。ヨーロッパ全体で展開されており、リーズナブルな移動手段として人気ですが、ドイツで利用するにはドイツの電話番号が必要です。私はSIMフリーのスマートフォンではなかったので利用できませんでしたが、海外旅行で頻繁に移動する場合は、スマホをSIMフリーに変更するか、eSIMの利用が可能な状態にしておくことをお勧めします。

BlaBlaCarを利用してコブレンツからニュルブルクリンクに行く場合、私が検索したときは1300円~2000円で予約可能な車が2台ありました。タクシーやレンタカーと比べると10分の1の値段で、所要時間は45分です。

参考Link:
Wikipedia
Google Play
BlaBlacar Germany

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